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神戸地方裁判所 平成9年(ワ)2320号 判決 1999年8月25日

兵庫県尼崎市潮江四丁目二番三〇号

原告

日本スピンドル製造株式会社

右代表者代表取締役

宮崎文雄

大阪府茨木市東太田二丁目二番五一号

原告

株式会社スピンドル建材

右代表者代表取締役

高倉俊夫

右両名訴訟代理人弁護士

本間崇

福井市左内町四番一五号

被告

山金工業株式会社

右代表者代表取締役

本間茂

被告訴訟代理人

金井和夫

金井亨

右補佐人弁理士

岡本清一郎

主文

一  原告らの請求をいずれも棄却する。

二  訴訟費用は原告らの負担とする。

事実及び理由

第一  請求

一  (主位的請求)

被告は、別紙イ号物件目録その一記載のパネルを製造し、販売し又は販売のために展示してはならない。

(予備的請求)

被告は、別紙イ号物件目録その二記載のパネルを製造し、販売し又は販売のために展示してはならない。

二  被告は、原告らに対し、金七〇四万五〇〇〇円及び内金三八九万円に対する平成九年一二月一一日から、内金三一五万五〇〇〇円に対する平成一〇年一二月一五日から、各支払済みに至るまで年五分の割合による金員を支払え。

第二  事案の概要

本件は、原告らが、その共有する実用新案権を被告に侵害されたとして、実用新案権に基づき、被告に対し、侵害行為の差止と損害賠償を求めた事案である。

一  判断の前提となる事実(証拠を掲記しない事実は当事者間に争いがない。)

1  当事者

(一) 原告日本スピンドル製造株式会社(以下「原告日本スピンドル」という。)は、建材及び成形品の製造ならびに販売等を目的とする会社である。

原告株式会社スピンドル建材は、金属製又は木製建具の製造、加工、取付工事ならびに販売などを目的とする会社である。

(二) 被告は、建造物の内装、外装、外溝工事に関する設計及び請負施工ならびにこれらに関する建設用材料の製造販売等を目的とする会社である。

2  原告らの権利

(一) 原告らは左記の実用新案権(以下「本件実用新案権」という。)を共有している。

(1) 考案の名称 間仕切りパネル

(2) 出願日 昭和六二年七月六日

(実願昭和六二-一〇四二九〇号)

(3) 出願公開日 平成元年一月一九日

(実開平一-一〇一一〇号)

(4) 出願公告日 平成六年九月七日

(実公平六-三四四八八号)

(5) 登録日 平成七年七月六日

(6) 登録番号 第二〇六七三一六号

(7) 実用新案登録請求の範囲(請求項1)

「単位パネル(1)を横に連結して室内を仕切る間仕切りパネルであって、単位パネル(1)は木製の上枠(21)、金属製の下枠(22)及び木製の両縦枠(23)から成る矩形のパネル枠(2)に木製の或いは木材を主体とするパネル部材を嵌めて形成され、縦枠(23)の内面の全長に亘ってパネル部材の端縁が嵌まる内溝条(25)が形成され、該縦枠(23)の外面の全長に亘って、単位パネル(1)を連結するための方立(50)が嵌合する外溝条(26)が開設されていることを特徴とする間仕切りパネル。」(以下「本件請求項」といい、その考案を「本件考案」という。)

(二) 本件考案の構成要件

本件考案の構成要件は次のとおり分説できる(甲二の二)。

A 単位パネル(1)を横に連結して室内を仕切る間仕切りパネルであること。

B 単位パネル(1)は、木製の上枠(21)、金属製の下枠(22)及び木製の両縦枠(23)から成る矩形のパネル枠(2)に木製或いは木材を主体とするパネル部材を嵌めて形成されていること。

C 縦枠(23)の内面の全長に亘ってパネル部材の端縁が嵌まる内溝条(25)が形成されていること。

D 該縦枠(23)の外面の全長に亘って、単位パネル(1)を連結するための方立(50)が嵌合する外溝条(26)が開設されていること。

(右の各構成要件を、以下「構成要件A」などいう。)

3  被告の行為

被告は、別紙イ号物件目録その二記載の物件(以下「イ号物件」という。)を、遅くとも平成八年ころから業として製造販売している。

4  イ号物件の構成

(一) イ号物件に共通する構成は、以下のとおりである。

a イ号物件は、一二種類の単位のパネル(1、1a)から選択された、<1>ないし<5>のタイプの単位のパネル(1)(別紙イ号物件目録その一記載の物件〔以下「イ号物件その一」という。〕)を一つ又はそれ以上を含む複数種類の単位のパネルを用い、別紙第1図に示すように、その単位のパネル(1、1a)相互を連結して構成した間仕切りパネルである。

(二) 各単位のパネル<1>ないし<12>に共通する特徴は次のとおりである。

b 各単位のパネル(1、1a)は、上の枠(21)・下の枠(22)・横の桟(但し、Sタイプには横の桟なし)並びに両縦の枠(23)からなる矩形パネル枠を有する。

c イ号物件のうち、別紙イ号物件目録その二記載の<1> ASタイプ、<2> APタイプ、<6> CSタイプ、<7> CPタイプ、<8> BSSタイプ、<9> BPSタイプ、<10> KSタイプ、<11> SSタイプ、<12> Sタイプについては、縦の枠の内面の全長に亘って内縦溝が設けられている。

d 縦の枠(23)(いずれも樹脂を含浸させた木材にて形成されている。)は中実木製の縦枠主体の外面に全長に亘って外縦溝(26)を設け、この外縦溝(26)に、隣の単位のパネルと連結する<省略>形又は<省略>形の金具からなる連結片を、また、隣の柱と連結するための<省略>形の金具からなる連結片を、単位のパネルを横に連結したり、柱と連結したりする前から予めビス固定している。これらの連結片は、縦枠主体の外面で突出している。

また、これらの連結片は外縦溝(26)の全長に亘ってはおらず、連結片の下端は、縦枠(23)の下端から浮き上がっている。そして、連結片の側部で、連結されたパネル間の隙間を隠す隙間隠しが下方に延長している。

別紙第2図、第3図に示すように、単位のパネル(1、1a)相互の連結時には、両単位のパネル(1、1a)の外縦溝(26)に予めビス固定されている各連結片を相互に組み合わせてビス固定し、単位のパネルを柱と連結するときには、単位のパネルの外縦溝に予めビス固定されている<省略>形の連結片を、柱に連結固定する。

なお、各単位のパネルの具体的な特徴は、別紙イ号物件目録記載のとおりである。

二  争点

1  イ号物件その一は、本件考案の構成要件を具備するか。

2  イ号物件は、本件考案の構成と均等なものとして、本件考案の技術的範囲に属するものと認められるか。

3  原告らの損害額

三  争点に関する当事者の主張

1  争点1について

(原告らの主張)

(一) 構成要件A該当性について

(1) イ号物件その一は、単位のパネルを横に連結して室内を仕切る間仕切りパネルであるから、本件考案の構成要件Aに該当する。

(2) 本件請求項では「単位パネル(1)は木製の上枠(21)、金属製の下枠(22)及び木製の両縦枠(23)から成る矩形のパネル枠(2)に・・・」とされ、単位パネルのパネル枠(2)は「金属製の下枠」を有していることが要件とされている一方、本件請求項の冒頭では「単位パネル(1)を横に連結して室内を仕切る間仕切りパネルであって」とされていることから、本件考案はあたかも金属製の下枠(22)を有する矩形のパネル枠(2)にパネル部材を嵌めて形成された単位パネル(1)のみを横に連結した間仕切りパネルを対象としているように文理上は読める。

しかし、横に連結した単位パネルの全てが金属製の下枠(22)を有していなければならない理由はない。

すなわち、本件実用新案権に係る明細書(以下「本件明細書」という。)の詳細な説明では、「下枠(22)を木製とすると、例えば引戸用レールの取り付けに対する耐久性、靴の踏み付けに対する耐久性が低下する問題が生じる。」とか、「また、目立たない下枠(22)は金属製としたため、引戸用レールの取り付けや、靴の踏み付けに対する耐久性を高めることができる。」旨説明されていることから明らかなように、本件請求項における「金属製の下枠(22)」は、あくまでも、引戸や開き戸等の開口部(人の出入りすることができる箇所)を有する単位パネル(1)(以下「端パネル」という。)についての要件とみることが合理的である。

これに対し、開口部を有しない単位パネル(以下「中間パネル」という。)については、本件明細書の詳細な説明では、「中間パネル(1a)の上部には端パネル(1)と同様のガラス障子(3)、下部には塞ぎ板(5)が嵌まっている。」と説明され、また、本件明細書添付図面第1図の単位パネル(1)の中間に2つの中間パネル(1a)が図示されているが、このような中間パネルの部分は人が出入りできないのであるから、その下枠(22)に引戸用レールを取り付けたり、人が靴で踏み付けることもないのであって、下枠を金属製にする必要はない。

このように本件明細書の詳細な説明及び添付図面を参酌すれば、本件請求項の単位パネルの「金属製の下枠(22)」という要件は、端パネルについての構成を代表的に規定したものと解することが相当である。

(3) なお、このような観点からすれば、本件請求項の冒頭に「単位パネル(1)や(1a)を横に連結して室内を仕切る間仕切りパネルであって」と記載してあれば、右の趣旨がより明瞭になったのであろうが、(1a)が記載してないからといって、開口部のある単位パネルのみを横に連結して間仕切りをすると読むのは余りにも不合理である。

(二) 構成要件B該当性について

(1) イ号物件その一の単位のパネルは、上の枠、金属製の下の枠及び両縦の枠からなる矩形のパネル枠に、パネル部材を嵌めて形成されている。

そして、右の単位パネルは、上の枠、縦の枠は中実木製であるとされているが、中実木製とは、中身の芯に至るまで木でできている、普通の木材を指す。なお、上の枠に溝形金属杆が付加されているからといって、中実木製の上枠が木製でなくなるなどということはない。

したがって、イ号物件その一の単位パネルは、本件考案の単位パネルの矩形のパネル枠に関する要件をすべて充たしている。

(2) また、イ号物件その一の単位のパネルにおける矩形のパネル枠への取付物は、それぞれ異なってはいるものの、いずれもパネル部材の「木製」の部分ないし「木材を主体とする部分」の占める割合は、本件明細書添付第1図に示されているガラス障子(3)やガラス窓付きの引戸(4)等のパネル部材と比べて、相互に全く変わりはない。

したがって、イ号物件その一の単位のパネルは、本件考案の「木製或いは木材を主体とするパネル部材」という要件も具備している。

(三) 構成要件C該当性について

イ号物件その一の単位のパネルのうち、別紙イ号物件目録その二の二記載の<1>及び<2>のタイプの単位のパネル(以下、単に「イ号物件<1>」などという。)は、単位のパネルの縦の枠の内面の全長に亘ってガラス障子の当たり部などパネル部材の端縁が嵌まる内溝条が形成されているから、本件考案のCの構成要件に該当する。

また、イ号物件<3>ないし<5>では、単位のパネルの縦の枠の全長に亘って内溝条は設けられていないものの、横の桟の上側にガラスまたはガラス障子を嵌め込んでいるから、少なくとも横の桟の上側にはパネル部材の端縁が嵌まる内縦溝が設けられている。

したがって、これらについても、少なくとも本件考案の構成要件を一部利用している。

(四) 構成要件D該当性について

(1) イ号物件その一の単位のパネルは、外面の全長に亘って外縦溝が開設されており(なお、本件考案において外溝条の深さについては特に規定されていない。)、そこには単位のパネルを連結するための連結片が予め嵌入固定されており、単位のパネルの連結時には、それぞれの連結片を相互に組み合わせてビス固定するから、本件考案のDの構成要件に該当する。

(2) なお、本件考案のDの構成要件にいう「方立」とは「単窓同士を横方向に連結したときの連結部分」であり(甲七)、そのような方立の意味からすれば、イ号物件の<省略>形ないし<省略>形の金具からなる連結片が外縦溝の全長に亘っておらず、連結片の下端が縦枠の下端から浮き上がっているとしても、連結片同士をビス固定するときに連結部分としての方立が形成されることには変わりがない。

(3) また、本件考案のDの構成要件のうちの「該縦枠(23)の外面の全長に亘って」という部分は、「外溝条(26)」にかかる文言であって、「単位パネル(1)を連結するための方立(50)」にはかかっていないから、ここにいう方立の長さが単位パネルの外枠の全面の全長に亘って開設されている外溝条と同一の、柱として立設しているものでなければならないということにはならない。

(被告の主張)

本件考案とイ号物件その一とは、その構成上、以下の相違がある。

(一) 間仕切りパネルの構成

(1) 本件考案の間仕切りパネル

<1> 本件考案は、単位パネルはすべて(出入口用の端パネルでないものも)下枠(22)は金属製のものであり、その単位パネルを横に連結して仕切る間仕切りパネルである。

<2> すなわち、本件考案は単位パネル同士を横に連結して室内を仕切る間仕切りパネルであって、単位パネルと非単位パネルとを連結する間仕切りパネルではない。

仮に、一枚でも単位パネルを使用していれば本件実用新案権の侵害にあたるとすれば、本件請求項では、単位パネルに連結される非単位パネルは全く特定されていないことになるが、本件明細書の詳細な説明によれば、本件考案の目的が、木材の特質を利用した単位パネルを用いて間仕切りを行うことによって、室内に暖か味を醸し出し、併せて断熱効果を向上して暖冷房の効果を上げることにある以上、自ずと非単位パネルの構成には限定があるはずである。例えば、外観上冷たく感じ、また熱伝導が良好であるため、冬は冷たく夏は熱くなる金属質のパネルを非単位パネルとした間仕切りパネルが本件実用新案権の技術的範囲に属さないことは明らかである。

したがって、本件考案においては、単位パネルに組み合わされるパネルの構成が具体的に特定されたものでなければならず、本件請求項の記載からすれば、それは単位パネル同士を連結するということで特定されているとしか読みとれない。

それゆえ、本件考案の単位パネルは、それが出入口用ではないとしても、下枠(22)は金属製ということになる。

よって、本件実用新案権の技術的範囲は、下枠(22)が金属製である単位パネル同士を連結したものに限定されるというべきである。

<2> イ号物件の間仕切りパネル

イ号物件は、金属製の下枠を有しない単位のパネルも連結されることが予定されているのである。イ号物件その一は、右のイ号物件の一部を構成するものにすぎないものである。

(3) したがって、仮にイ号物件その一の単位のパネルに本件考案の単位パネルの構成要件を充たすものがあったとしても、イ号物件その一としては本件考案の構成要件に該当しない。

(4) なお、本件明細書の詳細な説明添付図面において、中間パネルの下枠を(22a)とし、端パネルの下枠の(22)と区別して図示されているのは、前者が塞ぎ板(5)を嵌めるのに対し、後者が引戸(4)を嵌めるため、その形状が異なるからであって、材質を異にするものとは読みとれない。

本件明細書の詳細な説明の(実施例)の項の記載によれば、「各パネルのパネル枠(2)は上枠(21)、下枠(22)、両縦枠(23)及び縦枠(23)間の上部に設けた横桟(24)によって縦長の矩形体に形成され」と記載されており、この「各パネル」とは、文脈からみて端パネルと中間パネルの両者を指すことは明らかである。そして、「下枠(22)は金属帯板の曲げ加工によって形成されている。」として、下枠(22)は端パネルと中間パネルの両者を含めて金属製だとしている。このように、右(実施例)の記載をみる限り、端パネルと中間パネルの下枠の材質は同一であるとしか読みとれないのである。

(二) 構成要件B不該当性について

(1) イ号物件その一の各単位のパネルの上枠は、全部が木製ではなく、その下面及び上面に設けた凹溝に溝形金属杆が嵌入・ビス固定されている。縦の枠についても同様である。また、下枠についても、全部が金属製ではなく、中実木製の下枠主体の上下面に横溝を設け、下の横溝に<省略>形の溝形金属杆が嵌入・ビス固定されているものもある。

(2) また、「木材を主体とする」という要件については、本件明細書の詳細な説明ではガラス障子(3)ないしガラス窓付きの引戸(4)が挙げられているにすぎないから、少なくともイ号物件<3>(横の桟の上側にガラスを嵌め込んだもの)は、本件考案の単位パネルに該当しない。

(三) 構成要件C不該当性について

イ号物件<3>ないし<5>については、内縦溝は全長に亘っていない。なお、これらのタイプの単位のパネルにおいては、内縦溝は横の桟よりも上側にのみ設けられており、その長さは縦の枠の全長の三割程度であり、到底、縦の枠の内面の大部分において内縦溝が開設されているとすらいえないものである。また、イ号物件その一の単位のパネルには、全て上の枠と下の枠の間に横の桟を設けており、横の桟によって内縦溝は上下に分断されている。

したがって、少なくともイ号物件<3>ないし<5>は本件考案のCの構成要件に該当しない。

(四) 構成要件D不該当性について

(1) 本件考案では、単位パネルは縦枠の外溝条に嵌合する方立をもって連結することを前提としている。したがって、本件考案の単位パネルの縦枠は現場施工時における方立の嵌合を可能とするような外溝条を備えていなければならない。

これに対し、イ号物件その一の単位のパネルでは、隣の単位のパネルと連結する<省略>形又は<省略>形の金具からなる連結片或いは隣の柱と連結するための<省略>形の連結片が予めビス固定されているというものであり、縦の枠の外縦溝はそれほど深いものである必要がなく、単に化粧溝の機能しかない。

(2) また、構成要件Dにいう「方立」とは、そもそも出入口などの脇にある小柱の意味であり(乙一)、柱として立設しているものをいうのであるから、方立の長さは単位パネルの縦枠の外面の全長に亘って開設されている外溝条と同一でなければならない。

しかし、イ号物件その一の単位のパネルの縦枠には、外面の全長に亘って外溝条が設けられてはいるが、その連結片は外溝条の全面に亘っておらず、連結片の下端は縦の枠の下端から浮き上がっている(なお、該連結片の側部で、連結されたパネル間の隙間を隠す隙間隠しが下方に延長しているにすぎない。)。

(3) そして、本件考案の方立とは、本件明細書の詳細な説明における(作用及び効果)の記載によれば、施工現場で初めて単位パネルの外溝条に嵌合されるものであり、この嵌合までは単位パネルと方立は独立しているし、単位パネルの外溝条は開放状態にあるものであると解される。

これに対し、イ号物件その一は、工場生産された単位のパネルが既に連結片を具えているのであり、この単位のパネルは施工現場で初めて方立と嵌合できるような外溝条を何ら有していない。そして施工現場においては、この連結片相互をビス固定して単位のパネル相互を連結するのであり、外溝条と方立とを嵌め合わせて単位パネル相互を連結する本件考案とはその連結の仕組みが全く異なる。

(4) なお、間仕切りパネルについては、「枠連結タイプの間仕切りパネル」と「スタッド連結タイプの間仕切りパネル」との二種類の方立があることは業界の常識であり(乙一〇ないし一六)、本件考案における方立(50)は、スタッド連結タイプのものであって、イ号物件その一の方立は枠連結タイプのものであるという点で明らかに異なる。

(5) そもそも、本件考案は、現場での大工仕事によって間仕切りを施す場合には施工時間が長くかかりコスト高を招来するという従来技術の問題点を解決することを目的の一つとするものであるから、単位パネル相互の連結手段が簡素でなければ本件考案が目的とする施工能率の向上は達成されないことになる。この点、単位パネル同士の連結部材には、何種類もの金具を用いて行う複雑で手間のかかるものから、本件考案のような簡単な柱の嵌合方式まで様々なものがあるのであって、本件考案の右目的を達成するためには、柱の嵌合方式という簡素な連結手段を採用することが必須というべきである。

これに対し、イ号物件その一のような連結方式は、パネル連結安定性上の作用効果を重視した反面、本件考案よりも施工能率向上の面の作用効果が劣るという点でも異質である。

そうであるとすれば、イ号物件その一における、右連結片同士を相互にビス固定することにより形成されたものは、本件考案の「方立」ではないというべきである。

(6) したがって、イ号物件その一の単位のパネルは、本件考案のDの構成要件に該当しない。

2  争点2について

(原告らの主張)

(一) 仮に、本件考案において、端パネル(1)も中間パネル(1a)も共に「金属製の下枠(22)」という要件を充たしていることが必要であるとしても、本件考案とイ号物件の相違点は、本件考案における「金属製の下枠(22)」のうち、中間パネルの下枠が、本件考案では「金属製」であるのに対し、イ号物件の中間パネルの「下の枠」は、「中実木製の下枠主体の上下面に横溝を設け、下の横溝に<省略>形の溝形金属杆が嵌入・ビス固定され、該溝形金属杆の下端部分は下枠主体の下方に突出している。」という構造になっているという点のみである。

(二) そして、平成一〇年二月二四日、最高裁判所は、特許請求の範囲に記載された構成中に対象製品等と異なる部分が存する場合であっても、<1> 右部分が特許発明の本質的部分ではなく、<2> 右部分を対象製品などにおけるものと置き換えても、特許発明の目的を達することができ、同一の作用効果を奏するものであって、<3> 右のように置き換えることに当該発明の属する技術分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が、対象製品等の製造等の時点において容易に想到することができたものであり、<4> 対象製品等が、特許発明の特許出願時における公知技術と同一又は当業者がこれから右出願時に容易に推考できたものではなく、かつ、<5> 対象製品等が特許発明の特許出願手続において特許請求の範囲から意識的に除外されたものにあたるなどの特段の事情のないときは、右対象製品等は特許請求の範囲に記載された構成と均等なものとして、特許発明の技術的範囲に属するものと解するのが相当である、との判決を言い渡した(右の各均等要件を、以下「均等要件<1>」などという。)。

(三) 右の理は実用新案権についても妥当すると解されるところ、本件考案とイ号物件との間には前記のような相違点があるものの、それは次に述べるとおり右最高裁判決の掲げる<1>ないし<5>の要件を充たすものであるから、両者は均等であり、したがって、イ号物件は本件考案の技術的範囲に属すると解するのが相当である。

(1) 均等要件<1>(非本質的部分性)について

本件考案において、端パネルの下枠が金属製であることが本件考案の本質的部分であることは、本件明細書の詳細な説明の、単位パネルの下枠を金属製とする理由を記載した部分(前記1(一)(1)参照)が全て端パネルのみに当てはまることから明らかである。

これに対し、中間パネルの下枠が金属製であることが全く本質的でないことも、本件明細書の詳細な説明の前記の部分の反対解釈から明らかである。むしろ、中間パネル(1a)の下枠(22a)は中実木製を主体とした構成とする方が、本件考案の室内に暖かみを醸し出すという作用効果の達成のために望ましい。

したがって、中間パネルの下枠が金属製であることは、本件考案の本質的部分ではない。

なお、本件明細書の詳細な説明において指摘されているコストや品質の問題は中間パネルの下枠を木製にすることに関するものではない。

(2) 均等要件<2>(置換可能性)について

本件考案の中間パネル(1a)の下枠を請求の範囲の文言である「金属製」を、イ号物件の中間パネルの下の枠のような中実木製を主体とするものに置き換えても、本件考案の目的を達することができ、同一の作用効果を奏することはいうまでもない。

したがって、本件考案の中間パネルの下枠を「金属製」としたものと、イ号物件の<6>ないし<12>における下の枠のように中実木製を主体とするものとの間には、置換可能性がある。

(3) 均等要件<3>(置換容易性)について

右のように置き換えて同じ目的や作用効果を達成することに、当該考案の属する技術分野における通常の知識を有する者が、イ号物件の製造時点において容易に想到することができたものであることは、被告を含む複数の当業者が、本件考案の実用新案公報(以下「本件公報」という。)が発行された後に、イ号物件と酷似した製品(中間パネルの下の枠を木製を主体としたもの)を製造販売し始めたという現実の事実に照らして経験則上明らかである。

(4) 均等要件<4>(推考非容易性)について

<1> 本件考案にかかる実用新案登録出願は、特許庁審査官より平成五年八月二〇日を起案日とする拒絶理由通知を受けた(甲九の一)。

右拒絶通知の理由の一つは「明細書の記載中、下枠の材質に関する記載が不明瞭である。((下枠が)金属製であるにもかかわらず『木質パネル枠』と記載されている)」という点にあったが、原告らは「木質」を省略した訂正明細書を提出するという手続補正を行い、その結果、出願公告の決定がなされ、登録されるに至ったものである。

<2> これに対し、イ号物件は、本件考案が平成元年一月一九日に公開され、平成六年九月七日に公告された日よりもずっと遅れて平成八年ころから業として製造販売されるに至ったものであって、経時的に観察するだけでも、本件考案を模倣した結果となっており(なおイ号物件を製品化したもののカタログ中の商品名「木製学校間仕切WSP-一〇五」も、原告の本件考案の実施品の商品名「木製学校用間仕切SPW」と酷似している。)、拒絶理由通知で引用されたイ、ロ、ハの各公知引用例とは同一でもなければ、本件考案の出願時点で、本件考案の開示を受けることなく当業者がイ、ロ、ハの公知例から容易に推考できたものでないことは明らかである。

(5) 均等要件<5>(意識的除外)について

<1> 本件実用新案権の補正手続で、当初の出願明細書で下枠を木質パネル枠と限定していた請求項<1>が削除され、金属製の下枠を骨格とした請求項<2>が残され、同時に端パネルの下枠を金属製とした理由を示す箇所が考案の詳細な説明に挿入されたことは、端パネル(1)の下枠を木製或いは木材を主体とする構成のものは全て除外したことを意味するにすぎず、木材を主体とした下枠を備える中間パネルを意識的に除外したことにはならない。

<2> 引戸用レールの取り付けや靴の踏み付けに対する耐久性は、人の出入りしない中間パネルの下枠には関係がない。また、間仕切りパネル全体により室内の暖かみを醸し出すという本件考案の目的からいっても、中間パネルの下枠を金属製にこだわり木製を除外する必要はないばかりか有害である。したがって、中間パネルの下枠が木製のものを原告らが意識的に除外する必要と理由は全くない。

<3> したがって、端パネル(1)の下の枠(22)は、本件考案と同じ金属製であるが、中間パネル(1a)の下の枠(22a)のみを木製を主体としたイ号物件が出願手続において請求の範囲から意識的に除外されたものにあたるなどの特段の事情はない。

(被告の主張)

(1) 均等要件<1>(非本質的部分性)について

<1> 本件考案においては、下枠(22)が金属製であることは本質的なものである。

<2> そもそも、本件考案は、木材で間仕切りを施そうとして現場での大工仕事に頼る場合、<1> 施工期間が長くかかる、<2> コスト高を招来する、<3> 品質が一定しない、<4> 下枠も木製の場合は、端パネルの引戸用レールの取り付けに対する耐久性、靴の踏み付けに対する耐久性が低下するといった問題が生じるので(本件明細書二欄末尾行ないし三欄六行)、この問題を解決するためになされたのである。

<3> コスト或いは品質の観点からは、木材よりも金属の方がパネル枠の材質としては望ましい(本件明細書二欄九行ないし一〇行)。しかし、上枠・縦枠・横桟は目立つから、これらを金属製にすると暖かみが損なわれてしまうので、これらの材質は木材にせざるを得ない。そして、実施例では、前記<3>の品質の問題については、反りや狂いの少ない木材の集成材を使用することでこれを解決し、さらに、集成材に間伐材を利用すれば<2>のコストの問題も解決できるとされている(本件明細書四欄一八行ないし二四行)。そして、その文脈で、「下枠(22)は金属帯板の曲げ加工によって形成されている。」と続くのである(本件明細書四欄二九行ないし三〇行)。すなわち、目立たない下枠ならば金属製にしても単位パネル全体の暖かみを損なうことはなく、それでいて、木材に比べて反りや狂いもなくコストも低減できるメリットもある。このようなことから、中間パネルにおいても、下枠が金属であることは技術的に重要な意味をもつ(そもそも端パネルの下枠だけを金属製にして中間パネルの下枠を木製にすれば、中間パネルについては、大工仕事で間仕切りを施した場合と同様、施工状態にばらつきを生じ、品質が一定しなくなるから、中間パネルの配置か所において反りや狂いが生じ、間仕切りとしての耐久性が確保できなくなることは明らかである。)。

<4> なお、原告らのカタログによれば、木製学校間仕切SPWが優れた強度を有するとして、「SPWは木製間仕切ですが、強度が必要な部分にはスチール・アルミで補強しているため反りや狂いがありません。」とされ、枠の使用について、下枠の材質は集成材としながらも、中間パネル標準ユニットの縦断面図で、下枠の下にスチール・アルミによる補強がなされているように記載されているのは、原告自身、まさに中間パネルにおいても強度が必要だと考えているからに他ならない。

そこで、下枠を金属製とすることのメリットとしては、端パネルの耐久性を高めるためだけになされたものではないというべきである。

さらに、本件実用新案登録請求の願書(乙五)に添付された明細書(以下「当初の明細書」という。)と本件公報とを比較すると、このことはより明確になる。

すなわち、原告は当初の出願時、下枠の材質を限定しないものと、金属製に限定したものの二つを請求項として挙げていた。したがって、もし原告が主張するように、下枠を金属製とすることの本質的な意味が端パネルの下枠の耐久性の向上にあるとするなら、その旨の記載があってしかるべきである。ところが、当初の明細書にはそのことについて全く記載はない。明細書の実施例は、当初の明細書も本件明細書も全く同じで、下枠は金属帯板の曲げ加工によって形成されているものであるにもかかわらず、本件考案が解決すべき問題点として挙げられているのは、施工期間と品質とコストだけである。したがって、本件明細書のうち、原告らが、金属製の下枠が端パネルにのみ本質的であることの根拠として挙げている記載は、審査官の拒絶理由通知を受けて、原告らが自発的に当初の明細書を訂正していく過程で、下枠を金属製とすることで端パネルの下枠の耐久性を高めることができるという効果を付加したにすぎないものというべきである。

<5> よって、中間パネルにおいても下枠が金属製であるということは、コストや品質の問題を解決するために欠くことのできない事項なのであり、本件考案の本質的な部分である。

(2) 均等要件<2>(置換可能性)について

<1> 右(1)からすれば、金属製の下枠をイ号物件の中間パネルの下の枠に置き換えることで単純に同一の作用効果を奏すると結論づけられるものではないことは明らかである。

<2> さらに、イ号物件の、「中実木製の下枠主体の上下面に横溝を設け、下の横溝に<省略>形の溝形金属杆が嵌入・ビス固定され該溝形金属枠の下端部分は下枠主体の下方に突出している」という下の枠と金属製の下枠とでは、次のような相違点が生ずる。

表面上は金属製から木製に替わるので、木材の持つ暖かみという点ではより好ましく、木質のパネル枠として調和も取れる。

下の枠は木製が主体となっているため、断熱性が向上する。

下枠が金属製だと錆びることもありうるが、下の枠を木製主体とすることで錆防止にもなる。

下の枠を木製主体とすることにより、木製主体の縦の枠との連結が容易になる。

下の枠の製造工程が複雑になり、コストは上昇する。

<3> 以上から、両者の作用効果が同一であるとは到底いえないというべきである。

(3) 均等要件<5>(意識的除外)について

<1> 本件実用新案権の出願過程においては、本件考案の単位パネルの下枠の点について、以下のような経過があった。

すなわち、本件実用新案権の出願当初の明細書においては、実用新案登録請求の範囲第一項は、「単位パネル(1)は、上枠(21)、下枠(22)及び両縦枠(23)にて形成される矩形の木質パネル枠(2)に木質のパネル主体を嵌めて形成され」とされ、同第二項は、「下枠(22)は金属製である実用新案登録請求の範囲第一項に記載の間仕切りパネル」と記載されていた。これに対し特許庁の審査官から「明細書の記載中、下枠の材質に関する記載が不明瞭である。(金属製であるにもかかわらず『木質パネル枠』と記載されている)」との点で明細書及び図面の記載が不備であるという拒絶理由が通知された。そこで、原告らは、自発的に実用新案登録請求の範囲を「単位パネル(1)は木製の上枠(21)、金属製の下枠(22)及び木製の両縦枠(23)から成る矩形のパネル枠(2)に木製或いは木材を主体とするパネル部材を嵌めて形成され、」と補正した。原告らは併せて意見書も提出し、「単位パネル(1)は、パネル枠(2)の目立つ部分である縦枠(23)、上枠(21)の表面は木材にて形成されており、・・又、目立たない下枠(22)は金属製とした・・」、「本件考案のパネル枠、下枠以外の縦枠、上枠を木材にて形成し、この点から木質パネル枠としたにすぎない。しかし無用の誤解が生じることを避けるために、訂正明細書では『木質』の語句を省きました。」とした。その結果、拒絶理由は解消されたとして本件考案は出願公告されたのである。

<2> 右のような一連の経過からみれば、原告らは当初から下枠の材質に着目して出願しており、これに対し、特許庁の審査官が「金属製であるにもかかわらず『木質パネル枠』と記載されている。」と指摘したのは、下枠を金属製とするなら、たとえそれが目立たない存在であっても木質パネル枠という言葉にはそぐわないと判断したが、そうかといって、当初の明細書の詳細な説明にも、単位パネルである端パネル(1)の下枠(22)及び中間パネル(1a)の下枠(22a)が金属製としか記載されておらず、これ以外の素材からなることについては全く記載がなかったので、金属製以外の下枠を有する単位パネルの存在を読みとれなかったからに他ならない。

そこで、原告らは、自発的に補正し、下枠も含めて木質パネル枠としていた請求項<1>を削除して下枠を金属製に限定し、かつ、木質パネル枠を単位パネル枠と訂正したのである。そしてその限定に伴う顕著な効果として、補正書の考案の詳細な説明の(作用及び効果)の項で「目立たない下枠(22)は金属製としたため、引戸用レールの取り付けや、靴の踏み付けに対する耐久性を高めることができる。」という記載を付加し、さらに平成五年一二月一七日付け意見書において「目立たない下枠(22)は金属製としたため、引戸用レールの取り付けや靴の踏み付けに対する耐久性を高めることができる。」ことを強調するとともに、「引例ロは、現場で大工工事によって施工する木製のサッシュであって」などと主張し、下枠を金属製に限定することにより、本件考案を引例ロと区別して拒絶理由を回避できるようにしたのである。

したがって、原告らが補正によって下枠を含めて木質パネル枠としていた請求項を削除したということは、木材を主体とした下の枠を備えるイ号物件の中間パネルは、意識的に除外したということにほかならず、このような中間パネルは、本件考案に用いられる単位パネルとしては予定されていないというべきである。

<3> さらに、横に連結された単位パネルは、その全体の重量が下枠で支えられることになるが、下枠を木製にした場合は、その支持強度が不足するおそれがあり、また、木材の乾燥収縮に伴って下枠が短くなったり反る場合もある。このようなことから、木製の下枠は間仕切りパネルの連結状態の不安定化を招くおそれがある。

これに対し、下枠を金属製にすれば、重量を支持する下枠として、その強度向上を図ることができ、また寸法精度を保持できると共に下枠の反りが防止されることともなる。このようなことから、金属製の下枠は、間仕切りパネルの連結状態を安定させるといえる。また、金属製の下枠は、木製の下枠に比べて安価であるため単位パネルの製作コストを低減できることや木製下枠に比べて輸送中に凹んだり傷つく等の損傷を受けることが少ないというメリットもある。

したがって、本件考案で出入口の有無を問わず「単位パネルの下枠を金属製」に特定しているのは、間仕切りパネルの品質維持性能を上げる上で必須と考えられたからである。

そうとすれば、本件明細書の詳細な説明に、特に出入口用のものに関して、「引戸用レールの取り付けや靴の踏み付けに対する耐久性を向上させ得る」という独自の効果が記載されているからといって、金属製の下枠が出入口用の単位パネルだけに関してのものとする根拠とはなりえないというべきである。

3  争点3について

(原告らの主張)

(一) 被告は、遅くとも平成八年ころから、原告らの承諾を得ることなく、イ号物件を製造販売するという故意による不法行為により、少なくとも一億四〇九〇万円の売上を得た。

(二) 原告らは、小松ウォール株式会社に対しては四パーセント、文化シャッター株式会社に対しては四・〇五パーセントの実施許諾料の支払を受ける約定をした実績がある。なお、小松ウォール株式会社が四パーセントなのは、同社が本件実用新案権に抵触する製品の製造を止め、原告日本スピンドル製造の製品を購入することとしたから、同社が既に受注済みの製品については安めに実施料率を設定したものであり、文化シャッター株式会社が四・〇五パーセントなのは、同社が製造する製品を原告らから通常実施権の設定を受けて自ら販売する道を選んだからである。

(三) よって、原告らの許諾を受けることなくイ号物件を販売した被告は、右二社より高めの実施料率に基づき、右売上額の五パーセント相当の実施料である七〇四万五〇〇〇円を支払う義務がある。

(被告の主張)

被告が、イ号物件を製造販売しているとの事実は認めるが、その余の原告らの主張事実は争う。

第三  争点に対する判断

一  争点1(イ号物件その一は、本件考案の構成要件を具備するか)について

1  本件請求項には「単位パネル(1)を横に連結して室内を仕切る間仕切りパネルであって、単位パネル(1)は」「金属製の下枠(22)」「から成る矩形のパネル枠(2)に」「パネル部材を嵌めて形成され」との記載がある。

そうであるとすれば、本件考案の構成要件Aが、金属製の下枠(22)から成る単位パネル(1)のみを横に連結して室内を仕切る間仕切りパネルであることを意味していることは明らかである。

したがって、金属製の下枠から成る単位のパネルと下枠が金属製ではない単位のパネルとを連結するという間仕切りパネルは、本件構成要件Aに該当しないといわざるをえない。

2  この点、原告らは、本件明細書の詳細な説明及び添付図面を参酌すれば、本件請求項の単位パネルの「金属製の下枠(22)」という要件は端パネルについての構成を代表的に規定したものと解することが相当である旨主張する。

しかし、実用新案権の技術的範囲は、いわゆる均等論の適用が肯定されるといった例外的な場合を除き、実用新案登録請求の範囲に記載された文言からだけではその技術的意義が一義的に明確に理解することができず、明細書の考案の詳細な説明等を参酌しなければ右技術的範囲を確定できないというような特段の事情のない限り、実用新案登録請求の範囲の記載に基づいてされるべきであり(実用新案法二六条、特許法七〇条、特許出願にかかる発明の要旨の認定に関する最高裁平成三年三月八日第二小法廷判決・民集四五巻三号一二三頁参照)、実用新案登録請求の範囲の記載文言の技術的意義が一義的に明確であるにもかかわらず、明細書の詳細な説明を参酌することにより実用新案権の技術的範囲を拡張して解釈するということは許されないというべきである。

原告らの右主張は、本件請求項の記載文言上一義的に明確な本件実用新案権の技術的範囲を、本件明細書の詳細な説明及び添付図面を参酌することにより、金属製の下枠から成る単位パネル(1)は、端パネルについての構成を代表的に規定したものにすぎないと解して、下枠が金属製でない中間パネルを横に連結したものまで、本件実用新案権の技術的範囲に含まれるものと拡張して解すべきであるとするものであるから、右技術的範囲についての解釈原則に照らし、到底採用できないものというべきである。

3  イ号物件その一の各単位のパネル自体は、いずれも金属製の下枠から成るものであるが、証拠(甲三、乙四、弁論の全趣旨)によれば、イ号物件その一は、いずれも間仕切り全体のうちの出入口部分にあたる単位のパネルであり、かつ、被告が、間仕切りの出入口部分の単位のパネルであるイ号物件その一のみを横に連結した間仕切り(パネル)を製造、販売又は販売のために展示しているとは認められず、イ号物件その一は、いずれも下の枠が「中実木製の下枠主体の上下面に横溝を設け、下の横溝に<省略>形の溝形金属杆が嵌入・ビス固定され、該溝形金属杆の下端部分は下枠主体の下方に突出している」という中間パネル、すなわち下の枠がほとんど木質といってよいもので、到底金属製とは認められない中間パネルが連結されるものとして製造、販売等されていると認められる。

そうであるとすれば、イ号物件その一自体は、金属製の下枠から成る単位パネルのみを横に連結する間仕切りパネルではないから、本件実用新案権の構成要件Aに該当しないというべきである。

二  争点2(本件考案とイ号物件との均等性)について

1  原告らは、イ号物件の中間パネルの下の枠が「中実木製の下枠主体の上下面に横溝を設け、下の横溝に<省略>形の溝形金属杆が嵌入・ビス固定され、該溝形金属杆の下端部分は下枠主体の下方に突出している」という構造になっており、本件考案の、金属製の下枠から成る単位パネル(1)のみを横に連結した間仕切りパネルという構成要件Aに該当しないという相違点について、特許権に関し、いわゆる均等論を肯定した最高裁平成一〇年二月二四日第三小法廷判決を引用して、イ号物件は本件考案の構成と均等なものであり、本件考案の技術的範囲に属すると主張する。

右最高裁判決は、特許権侵害に関するものではあるが、その理は本件のような実用新案権侵害についても妥当するものと解される。

そこで、イ号物件が本件考案との均等要件を充たすものか否かについて、以下検討する。

2  イ号物件が、本件考案の実用新案出願手続において、実用新案登録請求の範囲から意識的に除外されたものにあたるなどの特段の事情が認められるか(均等要件<5>)について

(一) 証拠(甲二の一・二、八、九の一ないし三、乙二、五ないし七及び弁論の全趣旨)によれば、以下の事実が認められる。

(1) 本件実用新案の登録請求の願書に添付された当初の明細書には、以下の記載を含む記載があった。

(実用新案登録請求の範囲)

<1> 単位パネル(1)を横に連結して室内を仕切る間仕切りパネルであって、単位パネル(1)は上枠(21)、下枠(22)及び両縦枠(23)にて形成される矩形の木質パネル枠(2)に木質のパネル主体を嵌めて形成され、縦枠(23)の内面の全長に亘ってパネル主体の端縁が嵌まる内溝条(25)が形成され、該縦枠(23)の外面の全長に亘って単位パネル(1)を連結するための方立(50)が嵌合する外溝条(26)が開設されている間仕切りパネル

<2> 下枠(22)は金属製である実用新案登録請求の範囲第1項に記載の間仕切りパネル

<3> 縦枠(23)は集成材にて形成されている実用新案登録請求の範囲第1項又は第2項に記載の間仕切りパネル

<4> 縦枠(23)は樹脂を含浸させた木材にて形成されている実用新案登録請求の範囲第1項乃至第3項の何れかに記載の間仕切りパネル

<5> パネル主体はパネル枠(2)内に横桟(24)を設けて、上部に開閉可能に配備されたガラス障子(3)、該横桟の下方に開閉可能に配備された引戸(4)とによって構成されている実用新案登録請求の範囲第1項乃至第4項の何れかに記載の間仕切りパネル

<6> パネル主体は、パネル枠(2)内に横桟(24)を設けて、上部に開閉可能に配備されたガラス障子(3)、横桟(24)の下方に配備された塞ぎ板(5)とによって構成されている実用新案登録請求の範囲第1項乃至第4項の何れかに記載の間仕切りパネル

(従来の技術及び問題点)

近時新設される校舎の殆どは、鉄筋コンクリート作りの構体の内側を金属質のパネルにて複数の教室に、或いは教室と廊下とに仕切っている。

これは、コストの引き下げと耐久性の調和を図った結果であるが、金属質のパネルは外観上、冷たく感じ、又、熱伝導が良好であるため、パネル自体が冬は冷たく夏は熱くなり、学舎としての環境作りには問題があった。

校舎の構体は鉄筋コン(ク)リート作りであっても、木材を用いて間仕切りすれば、上記の問題は緩和される。

しかし、木材で間仕切りを施すには、現場での大工仕事が主となり、施工期間が長くかかり、コスト高を招来すると共に施工状態にばらつきがあり品質が一定しない新たな問題が生じる。

(実施例)

単位パネル(1)は工場で大量生産され、両端の2枚のパネル(1)(1)及び中間の2枚のパネル(1a)(1a)は夫々同形式であり、端パネル(1)と中間パネル(1a)の高さ及び幅長さは同一に形成されている。

端パネル(1)は横桟(24)を具え、その上部にはパネル主体である2枚のガラス障子(3)、下部には同じくパネル主体であるガラス窓付きの引戸(4)が嵌まっている。

中間パネル(1a)の上部には端パネル(1)と同様のガラス障子(3)、下部には塞ぎ板(5)が嵌まっている。

各パネルのパネル枠(2)は上枠(21)、下枠(22)、両縦枠(23)及び縦枠(23)間の上部に設けた横桟(24)によって縦長の矩形体に形成され、上枠(21)、縦枠(23)及び横桟(24)は反りや狂いの少ない木材の集成材にて形成されている。

下枠は金属帯板の曲げ加工によって形成されている。

方立(50)は金属板を屈曲して単位パネル(1)(1a)の外溝条(26)に緊密に嵌合する様な中空の断面矩形の杆体に形成され、単位パネル(1)の立て長さと同じ長さである。

(2) なお、当初の明細書の添付図面においても、中間パネルは1aと記載され、その下枠は22aと記載されていた。

(3) この出願に対し、特許庁の審査官によって拒絶の査定がなされ、平成五年八月二〇日付けで、この出願は、明細書及び図面の記載が不備と認められるから、実用新案法第五条第三項、第四項及び第五項に規定する要件を充たしていないという拒絶理由の通知がなされた。

そして、右の不備とされた点のうちに「明細書の記載中、下枠の材質に関する記載が不明瞭である。(金属製であるにもかかわらず『木質パネル枠』と記載されている。)」というものが含まれていた。

(4) これに対し、原告らは、平成五年一二月一七日付けで、特許庁長官に対して自発的に手続補正書(甲九の三)を提出し、当初の明細書を補正して本件明細書と同様の記載とした。

右補正部分としては、以下の<1>ないし<3>の点があった。

<1> 当初の明細書の実用新案登録請求の範囲の記載のうち、右<1>の、「単位パネル(1)は上枠(21)、下枠(22)及び両縦枠(23)にて形成される矩形の木質パネル枠(2)に木質のパネル主体を嵌めて形成され」が、「単位パネル(1)は上枠(21)、金属製の下枠(22)及び木製の両縦枠(23)から成る矩形のパネル枠(2)に木製の或いは木材を主体とするパネル主体を嵌めて形成され」と変更され、右<2>、<3>、<5>、<6>が全て削除され、右<4>の「乃至第3項の何れかに」の文言が削除された。

<2> 従来の技術及び問題点の記載について、「又、下枠(22)を木製とすると、例えば引戸用レールの取り付けに対する耐久性、靴の踏み付けに対する耐久性が低下する問題が生じる」との記載が付け加えられた。

<3> 作用及び効果の記載について、「又、目立たない下枠(22)は金属製としたため、引戸用レールの取り付けや、靴の踏み付けに対する耐久性を高めることができる」との記載が付け加えられた。

もっとも、実施例の「下枠(22)は金属帯板の曲げ加工によって形成されている。」との記載はそのまま維持されており、当初の明細書にも本件明細書にもそれ以外に単位パネル(1)の下枠の材質についての記載はない。

(5) 原告らは、右補正書と同時に、特許庁審査官に対して、「拒絶理由の中で、審査官は、『下枠の記載(材質の誤記と認められる。)に関する記載が不明瞭である』と指摘されている。本考案のパネル枠は、下枠以外の縦枠、上枠を木材にて形成し、この点から木質パネル枠としたにすぎない。しかし、無用の誤解が生じることを避けるために、訂正明細書では『木質』の語句を省きました。」と記載した意見書を提出した。

(6) 以上の経過を経た上で、本件考案は出願公告され、実用新案権として登録されるに至った。

(二) 以上のような本件考案についての実用新案出願手続の経過からすると、本件考案については、当初の明細書の段階から、金属製の下枠から成る単位パネルのみを横に連結する間仕切りパネル(当初の明細書の実用新案登録請求の範囲<2>)のほかに、下枠の材質が木質である単位パネルのみを横に連結する間仕切りパネル(同<1>)が想定されていたと認められるところ、原告らが、それを補正する段階で、意識的に、下枠の材質が木質である単位パネルのみを横に連結する間仕切りパネル(同<1>)を除外したことは明らかである。

もっとも、イ号物件は、端パネルとして使用される単位のパネルの下の枠は金属製で、中間パネルとして使用される単位のパネルの下の枠が「中実木製の下枠主体の上下面に横溝を設け、下の横溝に<省略>形の溝形金属杆が嵌入・ビス固定され、該溝形金属杆の下端部分は下枠主体の下方に突出している」という構造になっているものであるから、これが意識的に除外されたといえるかについては、さらに検討を要する。

(三) 本件では、当初の明細書から、中間パネルを表す記号が(1a)ないし1aとされ、端パネルを表す(1)ないし1という記号とは区別されて使用されているにもかかわらず、一貫して実施例の「下枠(22)は金属帯板の曲げ加工によって形成されている。」との記載が維持されており、当初の明細書にも本件明細書にも、それ以外に端パネル及び中間パネルの総称である単位パネル(1)の下枠の材質についての記載はない。

そうであるとすれば、右「下枠(22)は金属帯板の曲げ加工によって形成されている。」との記載は、端パネルの下枠と中間パネルの下枠とを問わず妥当するものといわざるをえない(したがって、右「下枠(22)」とは、端パネルの下枠及び中間パネルの下枠を代表する記載であるというべきである。)。

また、本件考案は、出願当初から金属製の下枠から成る単位パネルのみを横に連結する間仕切りパネル(当初の明細書の実用新案登録請求の範囲<2>)が予定されており、補正の段階で、明細書に付け加えられた「又、下枠(22)を木製とすると、例えば引戸用レールの取り付けに対する耐久性、靴の踏み付けに対する耐久性が低下する問題が生じる」とか、「又、目立たない下枠(22)は金属製としたため、引戸用レールの取り付けや、靴の踏み付けに対する耐久性を高めることができる」といったことは、右のような金属製の下枠から成る単位パネルのみを横に連結する間仕切りパネルについても、端パネルの下枠が金属製である以上当てはまるものである。

したがって、原告らが右のような補正を行ったことは、原告らが、本件考案について、下枠が金属製である単位パネルのみを横に連結した間仕切りパネルのみに意識的に限定したとすることと何ら矛盾するものではなく、右の補正は、単に原告らが下枠を金属製とすることで端パネルの下枠の耐久性を高めることができるという効果を付加して記載したにすぎないと解するのが相当であり、原告らが特に端パネルの下枠のみを金属製とする趣旨で右の補正を行ったとは認め難い。

よって、右のような記載が明細書に付け加えられたことを根拠に、原告らが、右出願手続において意識的に除外したのは、端パネルの下枠が木質のものに限られるということはできない。

(四) そして、当初の明細書によれば、既に単位パネルの用途として端パネルと中間パネルとが、また、単位パネルの下枠の材質として木質と金属製とが想定されていたことは明らかであるから、それらを組み合わせた間仕切りパネルとしては、四種類の構成(<1> 端パネル及び中間パネルの全てについて下枠を木質とする構成、<2> それらの全てについて下枠を金属製とする構成、<3> 端パネルの下枠を金属製とし中間パネルの下枠を木質とする構成、<4> 端パネルの下枠を木質とし中間パネルの下枠を金属製とする構成)がありうることもまた、その段階で容易に想到できたはずである。

そして、原告らは、本件実用新案出願手続において、本件考案については、特許庁審査官から「下枠の材質に関する記載が不明瞭である。」との指摘を受けたのであるから、その段階で、原告らが、本件考案を、イ号物件のような、端パネルの下枠のみを金属製とし中間パネルの下枠をほとんど木質といってよいものとする構成を含む間仕切りパネルの考案に補正することは、非常に容易なことであったといえる。

それにもかかわらず、原告らは、前記認定のとおり、単に当初の明細書の実用新案登録請求の範囲の記載のうち、<1>の、「単位パネル(1)は上枠(21)、下枠(22)及び両縦枠(23)にて形成される矩形の木質パネル枠(2)に木質のパネル主体を嵌めて形成され」を、「単位パネル(1)は上枠(21)、金属製の下枠(22)及び木製の両縦枠(23)から成る矩形のパネル枠(2)に木製の或いは木材を主体とするパネル主体を嵌めて形成され」などと補正しただけであり、しかも明細書の詳細な説明の実施例の「下枠(22)は金属帯板の曲げ加工によって形成されている。」との記載はそのまま維持しただけでなく、右補正と同時に特許庁審査官に提出した意見書において、「本考案のパネル枠は、下枠以外の縦枠、上枠を木材にて形成し、この点から木質パネル枠としたにすぎない。しかし、無用の誤解が生じることを避けるために、訂正明細書では『木質』の語句を省きました。」と、単位パネルの下枠は、端パネルと中間パネルとを問わず、全て金属製とすることとしたとの意見まで述べているのである(当初の明細書の実用新案登録請求の範囲から「木質」の語句を省けば、本件考案が金属製の下枠を有する単位パネルのみを横に連結する間仕切りパネルを意味することになることは、その記載文言からして一義的に明白である。)。

これらの事実からすれば、原告らは、右四種類の容易に想到できる間仕切りパネルの構成のうち、単位パネルの下枠が端パネルと中間パネルとを問わず全て金属製のものとする構成に意識的に限定し、それ以外の構成のものは意識的に除外したものといわざるをえない。

(五) そして、イ号物件の中間パネルの下の枠が、ほとんど木質といってよいもので、到底金属製とは認められないことは前記認定のとおりであるから、イ号物件は、原告らが意識的に除外した、端パネルの下枠を金属製とし、中間パネルの下枠を木質とする構成のものであると認められる。

したがって、本件考案とイ号物件との右相違点については、均等要件<5>が充たされないといわざるをえない。

(六) そうであれば、その余の均等要件について検討するまでもなく、イ号物件は、本件考案の構成と均等なものと認められないというべきである。

三  以上の次第で、原告らの本訴各請求は、その余の点について判断するまでもなく理由がないから、いずれも棄却することとし、訴訟費用について民事訴訟法六一条を適用して主文のとおり判断する

(裁判長裁判官 竹中省吾 裁判官 永田眞理 裁判官 鳥飼晃嗣)

(別紙) イ号物件目録その一

(商品名 木製学校用間仕切りWSP-105シリーズ)

別紙イ号物件目録その二に記載されている<1>ないし<5>のタイプの単位のパネル(別紙イ号物件目録その二の間仕切りパネルのうち、その出入口部分を構成する単位パネル)

以上

(別紙) イ号物件目録その二

(商品名 木製学校用間仕切りWSP-105シリーズ)

一 後記二の一二種類の単位のパネル(1、1a)から選択された、<1>ないし<5>のタイプの単位のパネル(1)を一つ又はそれ以上含む、複数種類の単位のパネル(1、1a)を、別紙第1図に示すように相互に結して構成した間仕切りパネル。

二 各単位のパネル固有の特徴は以下のとおりである。

<1> ASタイプ

上の枠(21) 中実木製の上枠主体の上下面に凹溝を設け、上下の凹溝に溝形金属杆が嵌入・ビス固定され、上面の溝形金属杆が上方に突出している。

下の枠(22) 金属製

横の桟 中実木製の横桟主体の上下面に凹溝を設け、上下の凹溝に溝形金属杆が嵌入・ビス固定されている。

縦の枠 内面の全長に亘って内縦溝が開設されており、横の桟の端部、ガラス障子(3)の端部及び引戸(4)の端部を嵌めている。

矩形パネル枠への取付物 横の桟の上側にガラス障子(3)を、横の桟の下側にガラスを嵌め込んだ引戸(4)をそれぞれ嵌めている。

<2> APタイプ

上の枠(21) 中実木製の上枠主体の上下面に凹溝を設け、上の凹溝に溝形金属杆(下の凹溝には金属杆は設けられていない。)が嵌入・ビス固定され、上面の溝形金属杆が上方に突出している。

下の枠(22) 金属製

横の桟 中実木製の横桟主体の上下面に凹溝を設け、下の凹溝に溝形金属杆(上の凹溝には金属杆は設けられていない。)が嵌入・ビス固定されている。

縦の枠 内面の全長に亘って内縦溝(25)が開設されており、横の桟の端部、塞ぎ板の端部及び引戸(4)の端部を嵌めている。

矩形パネル枠への取付物 横の桟の上側に塞ぎ戸を、横の桟の下側にガラスを嵌め込だ引戸をそれぞれ嵌めている。

<3> DFタイプ

上の枠(21) 中実木製の上枠主体の上下面に凹溝を設け、上の凹溝に溝形金属杆(下の凹溝には金属杆は設けられていない。)が嵌入・ビス固定され、上面の溝形金属杆が上方に突出している。

下の枠(22) 金属製

横の桟 中実木製の横桟主体の上面に凹溝を設け(凹溝には金属杆は設けられていない。)、その下面に戸当りが設けられている。

縦の枠 全長に亘っては、内縦溝(25)は設けられていない。

矩形パネル枠への取付物 横の桟の上側にガラスを嵌め込み、横の桟の下側にガラス 嵌め込んだ開き戸を取り付けている。この開き戸は、一方の縦の枠に蝶番を介して取り付けており、他方の縦の枠の内面に、開き戸のための戸当りが設けられている。

<4> FSタイプ

上の枠(21) 中実木製の上枠主体の上下面に凹溝を設け、上下の凹溝に溝形金属杆が嵌入・ビス固定され、上面の溝形金属杆が上方に突出している。

下の枠(22) 金属製

横の桟 中実木製の横桟主体の上下面に凹溝を設け、この凹溝に溝形金属杆が嵌入・ビス固定されており、その下面に戸当りが設けられている。

縦の枠 全長に亘っては、内縦溝(25)は設けられていない。

矩形パネル枠への取付物 横の桟の上側にガラス障子(3)を嵌め込み、横の桟の下側の左右にガラスを嵌め込んだ開き戸を取り付けている。これらの開き戸は、左右の縦の枠(23)に、それぞれ、蝶番を介して取り付けられている。

<5> ESタイプ

上の枠(21) 中実木製の上枠主体の上下面に凹溝を設け、上下の凹溝に溝形金属杆が嵌入・ビス固定され、上面の溝形金属杆が上方に突出している。

下の枠(22) 金属製

横の桟 中実木製の横桟主体の上面に凹溝を設け、この凹溝に溝形金属杆が嵌入・ビス固定されており、その下面に戸当りが設けられている。

縦の枠 全長に亘っては、内縦溝(25)は設けられていない。

矩形パネル枠への取付物 横の桟の上側にガラス障子(3)を嵌め込み、横の桟の下側の片側には、ガラスのない開き戸を取り付けている。また、反対側にはガラスを嵌め込んだ開き戸を取り付けている。これらの開き戸は、左右の縦の枠に、それぞれ、蝶番を介して取り付けられている。

<6> CSタイプ

上の枠(21) 中実木製の上枠主体の上下面に凹溝を設け、上下の凹溝に溝形金属杆が嵌入・ビス固定され、上面の溝形金属杆が上方に突出している。

下の枠(22) 中実木製の下枠主体の上下面に横溝を設け、下の横溝に<省略>形の溝形金属杆が嵌入・ビス固定され、該溝形金属杆の下端部分は下枠主体の下方に突出している。

横の桟 中実木製の横桟主体の上下面に凹溝を設け、上の凹溝に溝形金属杆が嵌入・ビス固定されている。(下の凹溝に金属杆は設けられていない。)

縦の枠 内面の全長に亘って、内縦溝(25)が開設されており、横の桟の端部、ガラス障子(3)の端部及び引戸(4)の端部を嵌めている。

矩形パネル枠への取付物 横の桟の上側にガラス障子(3)を、横の桟の下側には、塞ぎ板をそれぞれ嵌めている。

<7> CPタイプ

上の枠(21) 中実木製の上枠主体の上下面に凹溝を設け、上の凹溝に溝形金属杆(下の凹溝には金属杆は設けられていない。)が嵌入・ビス固定され、上面の溝形金属杆が上方に突出している。

下の枠(22) 中実木製の下枠主体の上下面に横溝を設け、下の横溝に<省略>形の溝形金属杆が嵌入・ビス固定され、該溝形金属杆の下端部分は下枠主体の下方に突出している。

横の桟 中実木製の横桟主体の上下面に凹溝が設けられている。

(上下の凹溝に金属杆は設けられていない。)

縦の枠 内面の全長に亘って、内縦溝(25)が開設されており、横の桟の端部、上下の塞ぎ板の端部を嵌めている。

矩形パネル枠への取付け物 横の桟の上側及び下側に塞ぎ板を嵌めている。

<8> BSSタイプ

上の枠(21) 中実木製の上枠主体の上下面に凹溝を設け、上下の凹溝に溝形金属杆が嵌入・ビス固定され、上面の溝形金属杆が上方に突出している。

下の枠(22) 中実木製の下枠主体の上下面に横溝を設け、下の横溝<省略>形の溝形金属杆が嵌入・ビス固定され、該溝形金属杆の下端部分は下枠主体の下方に突出している。

上の横の桟 中実木製の上の横桟主体の上下面に凹溝が設け、その凹溝に溝形金属杆が嵌入・ビス固定されている。

下の横の桟 上の横の桟の下側においてこの横の桟と平行に配置された下の横桟主体の上下面に凹溝が設け、上の凹溝に溝形金属杆(下の凹溝には金属杆は設けられていない)が嵌入・ビス固定されている。

縦の枠 内面の全長に亘って、内縦溝(25)が開設されており、上下の横の桟の端部、上下のガラス障子の端部及び塞ぎ板の端部を嵌めている。

矩形パネル枠への取付物 上の横の桟の上側にはガラス障子を、上の横の桟と下の横の桟との間には、上の横の桟の下側を占める面積の略半分程度であるガラス障子を更に下の横の桟と下の枠との間には塞ぎ板をそれぞれ嵌めている。上下のガラス障子の矩形パネル枠全体に占める面積は六割程度である。

<9> BPSタイプ

上の枠(21) 中実木製の上枠主体の上下面に凹溝を設け、下の凹溝に溝形金属杆(下の凹溝には金属杆は設けられていない。)が嵌入・ビス固定され、上面の溝形金属杆が上方に突出している。

下の枠(22) 中実木製の下枠主体の上下面に横溝を設け、下の横溝に<省略>形の溝形金属杆が嵌入・ビス固定され、該溝形金属杆の下端部分は下枠主体の下方に突出している。

上の横の桟 中実木製の横桟主体の上下面に凹溝が設け、下の凹溝に溝形金属杆(上の凹溝には金属杆は設けられていない。)が嵌入・ビス固定されている。

下の横の桟 上の横の桟の下側においてこの横の桟と平行に配置された下の横桟主体の上下面に凹溝が設け、上の凹溝に溝形金属杆(下の凹溝には金属杆は設けられていない)が嵌入・ビス固定されている。

縦の枠 内面の全長に亘って、内縦溝(25)が開設されており、上下の横の桟の端部、ガラス障子の端部及び引戸の端部を嵌めている。

矩形パネル枠への取付物 上の横の桟の上側には塞ぎ板を、上の横の桟と下の横の桟との間にはガラス障子を、更に下の横の桟と下の枠との間には塞ぎ板をそれぞれ嵌めている。

<10> KSタイプ

上の枠(21) 中実木製の上枠主体の上下面に凹溝を設け、上下の凹溝に溝形金属杆が嵌入・ビス固定され、上面の溝形金属杆が上方に突出している。

下の枠(22) 中実木製の下枠主体の上下面に横溝を設け、下の横溝に<省略>形の溝形金属杆が嵌入・ビス固定され、該溝形金属杆の下端部分は下枠主体の下方に突出している。

上の横の桟 中実木製の横桟主体の上下面に凹溝が設け、上の凹溝に溝形金属杆(下の凹溝には金属杆は設けられていない。)が嵌入・ビス固定されている。

下の横の桟 上の横の桟の下側においてこの横の桟と平行に配置された下の横桟主体の上下面に凹溝が設け、下の凹溝に溝形金属杆(上の凹溝には金属杆は設けられていない)が嵌入・ビス固定されている。

縦の枠 内面の全長に亘って、内縦溝(25)が開設されており、上下の横の桟の端部、ガラス障子の端部、塞ぎ板の端部及び板入障子の端部を嵌めている。

矩形パネル枠への取付物 上の横の桟の上側にはガラス障子を、上の横の桟と下の横の桟の間には塞ぎ板(掲示板)を、更に下の横の桟と下の枠との間には板入障子をそれぞれ嵌めている。

<11> SSタイプ

上の枠(21) 中実木製の上枠主体の上下面に凹溝を設け、上下の凹溝に溝形金属杆が嵌入・ビス固定され、上面の溝形金属杆が上方に突出している。

下の枠(22) 中実木製の下枠主体の上下面に横溝を設け、下の横溝に<省略>形の溝形金属杆が嵌入・ビス固定され、該溝形金属杆の下端部分は下枠主体の下方に突出している。

横の桟 中実木製の横桟主体の上下面に凹溝が設け、上下の凹溝に溝形金属杆が嵌入・ビス固定されている。

縦の枠 内面の全長に亘って、内縦溝(25)が開設されており、横の桟の端部、上下のガラス障子の端部を嵌めている。

矩形パネル枠への取付け物 横の桟の上側及び下側にガラス障子を嵌めている。

<12> Sタイプ

上の枠(21) 中実木製の上枠主体の上下面に凹溝を設け、上下の凹溝に溝形金属杆が嵌入・ビス固定され、上面の溝形金属杆が上方に突出している。

下の枠(22) 中実木製の下枠主体の上下面に横溝を設け、下の横溝に<省略>表形の溝形金属杆が嵌入・ビス固定され、該溝形金属杆の下端部分は下枠主体の下方に突出している。

縦の枠 内面の全長に亘って、内縦溝(25)が開設されており、ガラス障子の端部を嵌めている。

矩形パネル枠への取付け物 ガラス障子を嵌めている。

以上

(別紙)

<省略>

(別紙)

<省略>

(別紙)

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